建設コンサルタント株式会社エコー

事業紹介BUSINESS

構造系事業部

構造系事業部は、港湾・海洋・海岸に実際に設置される構造物の具体的な大きさや形状、材料等を決定する業務を行っています。
構造物についての安全性、耐久性、利用性、環境面等を検討し、最適な施設整備とすることを日々目指しています。

構造設計部

構造設計部は主に港湾、漁港、海岸保全施設の設計業務を、北は青森県から南は沖縄県まで、国土交通省及び自治体から受注しています。近年ではi-constructionへの取り組みとして、UAV及びRTK-GPSを用いた写真測量、港湾におけるCIM業務も行っております。

代表的な業務内容

外郭施設の設計

外郭施設とは、主に防波堤、防砂堤、護岸、水門、突堤などを指します。例えば、防波堤は、港内の水域が静穏になるように外洋からの波の進入を抑え、船舶が安全に停泊し、人の乗降や荷役が行なえるための施設です。 防波堤の設計では、外洋から来襲する高波やうねりなどの波の力に対して、滑動、転倒、地盤の支持力、地盤のすべり破壊が起きない断面を設定します。防波堤の構造形式には、重力式(ケーソン、コンクリート方塊)、傾斜堤式、杭式などがあり、水深や地盤条件などの現場条件によって適切に抽出する必要があります。また、最終的な構造形式の決定では、施工性、経済性、環境面などの項目に対して総合的に優位になる形式を選定します。 東日本大震災以降は、地震によって誘発される津波に対して、防波堤が倒壊するまでの時間を稼ぐために、粘り強い構造として港内に捨石などによる腹付けを行う検討も行うことがあります。

-重力式防波堤の一例-重力式防波堤の一例

係留施設の設計

周囲を海に囲まれた日本では、輸出入を合わせた貿易量が年間9億トン以上あり、その99.7%が船、残りを飛行機で運んでいます。 また、近年では国内外のクルーズ観光が盛んになっており、多くの人々が大型クルーズ船での旅を楽しんでいます。 船からの荷揚げや荷卸し、乗船や下船には、船を係留する必要があり、船を係留するための施設として岸壁があります。 岸壁の構造としては、重力式(主に鉄筋コンクリートで作るケーソン式)、鋼管矢板(鋼材)、桟橋式(鋼管杭と床版)等があります。設計では、対象地の潮位、波浪、土質等の自然条件や構造、利用等の条件を考慮し、最適な構造断面を設計します。 また、発生頻度の少ない強い地震が作用した後にも利用が可能な「耐震強化岸壁」の設計、大型化が進んでいるコンテナ船の係留に対応した大水深岸壁の設計も行っております。

大型クルーズ船の係留イメージ大型クルーズ船の係留イメージ

地震応答解析等の数値計算

地震の発生頻度が多い日本では、地震や地震動の揺れによる地盤の液状化などによって、構造物を支えることが出来なくなり、構造物の転倒・沈下、マンホール等の地中構造物の浮き上がりなどの被害が起こっています。これらの被害を未然に防ぐために、地震時の液状化による被害の予測を行う必要があります。弊社では、被害予測のプログラムとして「FLIP」などを用いています。 FLIPは、地盤及び構造物をモデル化し、地震時の構造物への影響をシミュレーションすることにより、被害予測ができます。FLIPを活用して、安全性・経済性に優れた、最適な耐震設計や対策工の提案などを行っています。

検討対象断面検討対象断面

FLIPによる残留変形図FLIPによる残留変形図

調査設計部

調査設計部は、港湾施設、海岸保全施設、漁港施設などの維持管理を主に担当しています。老朽化した構造物の調査計画、現地調査、健全度評価、維持管理計画書策定、さらに耐震性や補修、補強対策の設計、施工計画まで一貫して行う業務範囲の広い部署です。

代表的な業務内容

構造物の老朽化調査

海岸や港湾の構造物は、波や風の他、海水の影響を受けて一般の構造物より早く劣化してしまいます。海洋・港湾構造物をできるだけ長期間にわたって利用するためには、適切な時期に適切なメンテナンスをする必要があり、その指標となる老朽化調査を実施しています。 主な構造物は防波堤や岸壁、護岸などであり、材質はコンクリートや鋼材になります。 海洋・港湾構造物は、そのほとんどが海上で、海水面下にあるものも多いことから、老朽化調査は船上からの調査や、潜水士による調査が多くなります。 老朽化調査結果は、撮影した写真などを合成し、水面下や桟橋の下面など、陸上からは見ることのできない場所についても可視化できるように工夫しています。

桟橋の下面の現地調査状況桟橋の下面の現地調査状況

維持管理計画書の作成

港湾の施設は、一般的に厳しい自然条件の下に置かれることから、材料の劣化、部材の損傷、基礎等の洗掘、沈下、埋没等により、供用期間中に性能の低下が懸念されるため、適切な維持管理が必要となります。 維持管理をより効率的かつ的確に実施するためには、施設の維持についての基本的考え方、点検診断および維持補修工事等の時期、方法、内容、頻度、手順に沿って維持を行うよう、維持管理計画を定める必要があり、これらを取りまとめたものが維持管理計画書です。 新規構造物では工事完了後の初回点検により、既存施設の場合は施設の現状を把握するための現地調査を実施し、点検診断結果に基づく健全度評価を適切に行った上で、維持管理計画書を作成します。 維持管理計画書作成済みの施設については、定期的に点検診断を実施し、点検結果に応じて、点検診断計画の見直しや補修工事の提案等の維持管理計画書の改訂を行います。 調査設計部には、施設の維持管理に関する専門的知識を有する者として、海洋・港湾構造物維持管理士が在籍しています。

  • 苅田港苅田港
  • 北九州港北九州港
深浅測量

深浅測量は、港湾・海岸等の水域において水深を調べるための海上測量のひとつで、船と測定機器(GNSSと音響測深機)を使い実施します。 海洋・港湾構造物の現状把握のため、現地の水深を知ることは重要であり、深くなりすぎたり、浅くなりすぎたりすると、防波堤などの構造物が倒れたり、船が座礁したりすることにもなりかねません。そこで、定期的な深浅測量を行い、航路では船の航行安全のため水深を確認したり、継続的な深浅測量データを蓄積することで、年々浅くなっているのか?深くなっているのか?というトレンドを知ることができます。 深浅測量は近年、従来のシングルビーム測深に加えて、マルチビーム測深も多く実施されており、測量結果は3次元可視化が可能となってきています。普段は目にすることのない海中部の海底地盤や構造物の詳細な状況も、これらの最新技術で可視化し、それを元に必要な対策などを検討します。

マルチビーム測深による深浅測量結果(3次元画像)マルチビーム測深による深浅測量結果(3次元画像)